光の向こう【ラスティ視点/ミゲル←ラスティ/片思いのラスティ】
「ラスティ、今度の休み暇か?」
部屋で雑誌を読んでると、ミゲルが訪ねてきた。
一様、デスクの上に置いてあるカレンダーに目を通すが、特に予定はない。まぁ、大抵予定は入ってないんだけどさ。
「暇だけど、それがどうかした?」
「この間、良さそうなケーキ屋を発見したんだが、行かないか?」
「いいけど。甘い物好きだし」

俺は甘い物好きだ。
1番のお気に入りはシャルロット。
フィンガービスケットのサクサク感とムースの滑らかな舌触りがなんとも言えなくて、好きなんだよね。しかも上に乗っかっているフルーツが、ブラックベリーやラズベリー、ブルーベリーとベリー系でまとめられてたら、文句なし!
って、話がそれてるけど、実はミゲルも甘い物に目が無い。
飲み物は常にブラックコーヒーのミゲルにしては、結構意外だと思う。

「なぁ、ミゲル。どうしていつもケーキ屋とか行く時に、俺を誘うの?」
「俺一人だと浮くだろ?イメージじゃないしな。それにお前と一緒なら、なんか自然だろ?」
男2人でケーキ屋が自然ねぇ…。まぁ、俺と一緒なら、俺がミゲルを誘った様に見えると言いたいのかな。
「悪かったね。童顔で」
「いや、何もそこまで言ってないだろ?」
どーだか。確かに19には見えないと思うよ。イザークみたいに整った顔立ちじゃないしね。
「まぁ、どうでもいいけどね」

ミゲルは、俺を誘う。それは都合が良いから…。
俺は、ミゲルの誘いを受ける。それは好きと言う気持ちがあるから…。
一見、釣り合っている様に見えて、釣り合っていない俺達の関係。
もちろん、ミゲルが他の奴を誘うのは見たくない。
だから今のこの関係は俺にとって、希望と言う名の光。
でも、もしミゲルが俺の気持ちを知ったら、この関係はどうなる?
今みたいに、冗談を言い合える?俺を、また誘ってくれる?
もしかしたら、この関係すらも壊れるかもしれない。
それは絶望と言う光。

「ミゲル、他にも行きたいお店があるなら言ってよ。付き合ってやるからさ」
俺の言葉に、ミゲルは嬉しそうに笑う。
「結構、乗り気じゃないか」
「まーね」
だって、この役目を人に譲る気なんて、さらさら無いんだからさ。
精々、今の関係を利用させてもらわないとね。


今という光。
その光の向こうにあるものは何?
希望?それとも絶望?

鬼のいぬ間に【第三者視点/ミゲル×ラスティ前提/ZAFTオールギャグ】
季節-夏。
天気-雲ひとつ無い快晴。
クルーゼ隊長-不在。
訓練-終了済み。

「っう訳で、水遊びしようぜ、ミゲル!」
「はぁ?何言ってんの、お前」
ミゲルの御もっともな意見に、ラスティは真剣な顔で見返す。
「だって暑いじゃん」
「そりゃーな」
夏なんだから、当たり前だろ?と言うミゲルに、ラスティは言葉を続ける。
「隊長はいないし、訓練終わってるし、時間あるんだから、いいじゃーん。みずあそび~」
実は3日前から、システムにエラーが発生したらしく、異常に気温が上昇しているのだ。
「まぁ、少しぐらいならいいか…」
ミゲルも心の中では、この暑さにうんざりしていたのだ。
「よっしゃ!決定!!」
ラスティは、ミゲルを連れてだって外へと向かった。


「あつっ!!」
ホースから出てきた水に、手を伸ばしたラスティが叫んだ。
この暑さで、使われていなかった水道の水の水温が、上がってたのだ。
「大丈夫か?ラスティ」
「なんとか…」
「ほら、もう水、冷たくなってるから少し冷やせ」
ラスティの手をつかみ、ミゲルは水で冷やさせる。
先ほどの熱さが嘘のように、水は冷たい。
「気持ちいい…」
本当に気持ちよさそうに言うラスティに、ミゲルは自然と笑みがこぼれる。

「じゃあ、水まくぞ!」
手も十分に冷え、ラステはミゲルからホースを受け取る。ホースの口を潰し、ラスティは空に向かって水をまく。
それは太陽の光を浴び、キラキラと宝石のように輝く。
「おっ、なかなか綺麗じゃん」
始めは乗り気でなかったミゲルも、いざ始めると結構、楽しんでいるらしく、空に輝く水を眺めた。
そんな2人を、偶然ニコルとアスランが発見した。
「ラスティー、何をしてるんですか~?」
ニコルの声に気付き、ラスティは手を振る。
「みずあそびー。ニコルとアスランも来いよ!」
気持ちいいぞと言うラスティに、ニコルはアスランに視線を移す。
「アスラン、僕達も行きましょうよ」
ぐいぐいと、シャッツの裾を引っ張るニコルに、アスランは苦笑しつつも、頷く。
「わかったよ、ニコル。だからシャッツを引っ張らないでくれ。伸びるだろ?」
あっ、そうですね。と言って手を離すニコル。やはりニコルも14歳の少年なんだと思い、アスランはニコルと共に、2人のもとに向かった。


「うわぁ~。虹ですよ!アスラン、見て下さい!!」
ラスティが撒く水で、出来た虹にはしゃぐニコル。その脇では、19歳とは思えないラスティも、一緒になって騒いでいる。
「なんだかんだ言って、ミゲルって面倒見いいよな」
ぽつりとアスランが呟く。その言葉に、ごろんと転がってたミゲルが、アスランを見返す。
「そうか?」
「そうじゃなきゃ、ここにいないだろ?」
アスランの問いに、ミゲルは、う~んと少し考えていたが、考えがまとまったらしく、口を開く。
「アスラン。俺は、誰でも面倒を見るって訳じゃないぞ」
「えっ?」
「相手がラスティだからさ」
満足そうに言うミゲルに、アスランは納得したように笑う。
「なるほどな」


「おい!ラスティ!!」
後方から聞こえる、自分を呼ぶ声。
ラスティは、くるりと振り返る。
そして、それを見ていたミゲルが叫ぶ。
「あっ、ラスティ。止めろ!!」
だが、ミゲルの制止の声も届かず、次の瞬間…。
「ぎゃあっ!!」
と言う、ちょっと間抜けな悲鳴が響いた。
「いっ、イザーク?」
実は、ラスティがホースを持ったまま振り返った為に、近づいて来ていたイザークに、水がかかってしまったのだ。
頭から豪快に水を浴びたイザーク。髪の毛からは、水がぽたぽたと滴り落ちている。
その場にいた全員が唖然としている中、当のイザークは、ぷるぷると手を震わせている。
「アスラン、ニコル、逃げるぞ」
「「えっ?」」
意味が飲み込めないでいる2人の手を掴み、ミゲルは走り出す。
「ラスティー、貴様ァァ!!」
「ごめんっ!イザーク」
3人が逃げる後ろで、イザークの怒りに満ちた声と、ラスティの声が交差した。


「なぁ、ミゲル。ラスティの面倒見は、よかったんじゃないのか?」
無事に逃げたきったアスランが、ミゲルに投げかける。
「うん?そりゃ、俺だって我が身の方が可愛いだろ?」
「イザークは、キレると手がつけられませんからね」
ミゲルの言葉に補足するように、ニコルが言う。
「まぁ、そうだな」
納得するアスラン達の後ろの方では、今だ、イザークの怒りの声が響いている。


羽目を外す時は、鬼のいぬ間にしましょう。

シアワセ【ラスティ視点/ミゲル×ラスティ前提/切なめ】
声が聞こえる。
アスランの涼しい声。ニコルの優しい声。
イザークの少し呆れた声。ディアッカのちょっと小ばかにした声。
そして、大好きなミゲルの声。
ちょっと呆れつつも、心配してくれている声。

あれ?
だんだん声が聞こえなくなっていく…。
どうしてだろう?

『皆どこ?』
『ミゲル?アスラン?ニコル?』
『イザーク?ディアッカ?皆、どこにいるの?』
『おい、出てきてよ!!』

真っ白な空間に、独りぽつんと残されたみたいだ。
凄く怖い。嫌だ。なんでだ?皆どこにいるんだよ!?
ねぇ、出てきてよ!!

『ミゲル!!』
『ミゲル、助けて!!』



目を開けると、目の前は真っ暗だった。

夢?あんなにリアルだったのに…。
信じられなくて、身体を起こし、脇のベッドへと視線を移す。
そこでは、アスランが健やかな寝息をたてて、眠りについていた。
よかった…。
そう安堵したけど、さっきまでの夢を思い出すと、何故か泣けそうなくらい苦しくなる。
あれは本当に夢だったのか?実はあれが現実で、これが夢なのかもしれない。
そんな自分の馬鹿げた想像を振りほどくため、頭を左右に振って、その考えを追い出す。
ふと、自分がびっしょりと、汗をかいていた事に気がついた。
Tシャツがべたっと肌に張り付いて、気持ち悪い。
余程、うなされていたらしい。
シャワー、浴びてこよう。
そうすれば、気持ちも落ち着くかもしれない。
アスランを起こさないよう、なるべく物音をたてずに部屋を出た。


誰もいない廊下を歩いていると、さっきの夢がフラッシュバックする。

皆、ドコニイルノ?

うっ…、なんか気持ち悪くなってきた…。
立っているのも辛くて、そのまま壁にもたれつつ、床に座り込んだ。
誰か助けて…。
小さな子供のように、心の中で俺はお願いをした。

「ラスティ?」
「えっ?」
顔を上げると、ミゲルの顔が目の前にあった。
「お前、こんな所でどうしたんだよ」
「ミゲル?」
そう言うと、頭がくらっとして、ミゲルに身体を預けた。
「おい、大丈夫か!?おい、ラスティ…」
ミゲルの声が、少し遠のいていくのを感じた。


目を開けると、暗い闇の中に見慣れた金髪が目に入った。
「気がついたか?」
「ここ、どこ?」
「中庭。風に当たってた方が、気分がよくなるかと思ってな」
確かに、空気が冷たくて気持ちいい。
「しっかし、マジでびびったぞ。こんな時間に、お前が廊下でうずくまってるなんてな」
それは俺自身、驚いているんだから当然だろう。
「ミゲルこそ、なんで廊下にいたの?」
「なんか目が覚めてな。暑かったし、何か飲み物を買おうと思って、起きたんだ」
「そっか」
納得をした俺に、ミゲルが凄く言いにくそうに声を掛けてくる。
「で、ラスティ。悪いんだが、手を離してくれないか?」
「手?」
少し身体を起こし、下を見ると、俺の手がミゲルの手を掴んでいた。
「えっ!?あっ、ゴメン」
凄く恥ずかしくて、ぱっと手を離す。

なんで、ミゲルの手を掴んでたんだろう?

「で、どうしたんだ?」
「えっ、何が?」
俺の反応に、ミゲルがオーバーアクションで、ため息をつく。
「お前な~。何が?じゃないだろ。廊下にうずくまってると思ったら、いきなり意識飛ばすしよ。何も無かったとは、言わせないぞ」
じっと、ミゲルに見つめられ、俺は仕方なく口を開く事にした。

「夢を見たんだ」
「何の?」
「…が、いなくなる夢」
「えっ?誰が?」
俺の声が聞き取れなかったらしく、もう一度聞いてくる。
あまり口に出して、言いたくないんだどな…
本当になりそうで、怖いから。
「皆が、いなくなる夢」
「えっ?」
「俺が、皆の事を一生懸命探すのに、全然見つからないんだ。真っ白な空間に、1人取り残されて、凄く怖くて…。ミゲルに、何度も助けを求めたんだ」

そう、ミゲルの事を、何度も呼んだんだ。
でもあの時は、誰も助けに来てはくれなかった…。

「でも、今はミゲルがいる」
そう言って、先ほど離したミゲルの手を、再び掴んだ。
「ありがとう。助けに来てくれて」
そう言うと、強い力で抱きしめられた。
「俺ならどんな時でもどんな場所でも、お前を助けに行ってやる。だから何度でも呼べよ、ラスティ」
耳元でささやかれた言葉に、涙が零れそうになった。


もし、"シアワセ"とは何かと問われたら、俺は間違いなくこう答えると思う。
ミゲルが、アスランやニコルなど皆が、俺の傍に居てくれる"今"と言う時がシアワセだと…
モドル